北朝鮮の朝鮮戦争休戦協定の全面白紙化

国際情勢は春に背いて、至る所で厳しさが感じられ、我が国の周辺でも北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験と核実験を続けざまに行い、いずれも成功させました。

この結果、北朝鮮は近いうちに米国本土の大西洋岸の重要な都市も核攻撃する事が可能になったといえます。

しかし、北朝鮮の一連の実験は、かねて国際連合から、行わないように要請されていたことばかりです。

今回の核実験が、国際社会にそう言う要請を無視して強行された3回目のものであり、さすがに中国やロシアも、従来のように北朝鮮の弾道ミサイルや核実験に、甘い態度を続けることを止め、安全保障理事会の北朝鮮制裁決議に加わり、拒否権は発動しませんでした。

3月7日の決議可決に対し、北朝鮮は制裁決議を主導した米国に「核先制攻撃の権利を行使する」と威嚇する声明を発しました。

また、これより先、3月11日に予定されていた米韓合同の軍事演習に先立ち、米韓両国の名を挙げ、「朝鮮戦争休戦協定を白紙にし、ニューヨークやソウルを火の海にする」と威嚇の声明も出しています。

1953年に調印された朝鮮戦争休戦協定の全面白紙化ということは、韓国や米国に対して随時に武力行使を再開し、戦争状態に入る可能性があると、宣言したに等しいものです。

国際法の常識では、協定の破棄や変更は署名した当事者全員の同意が必要であり、一方的な破棄や変更は無効であり、歴史的事例に拠ってみると、当事者間に戦争状態が近づき、条約関係が破綻した時に生ずる事象です。

朝鮮戦争の休戦ラインに近い場所で、挑発行為や偶発的な出来事が、原因となって「熱い争い」が生起し、燃え上がる危険があります。

特に相手が、国際法に基づく発想力を持たず、自国の論理を100%主張して妥協しない場合は極めて危険です。

 

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