国際法のすすめ(1)

その1国際法とは

第2次大戦後の日本には、戦う手段を一切持たなければ諸外国が日本の平和を保証してくれる、だから戦争に巻き込まれることはないと考えて、非武装中立を唱えて、国益の主張を差し控え、ひたすら頭を低くして国防力について考えないことが平和主義であり、『平和憲法』を唱えて、軍事と名のつくものは一切政治の世界から排除すべきだという、信仰にも似た主張が根強く存在してきました。

 しかし、大戦後約60年の世界平和獲得の歴史は、決してそのような容易なものでないことは数々の事実が示しているところです。

 『日本国憲法』は日本の国内を治める法律です。
日本の領域にに住んでいない人なかんずく外国人には、この憲法を守る義務どころか知る必要さえないのです。

日本人が『平和憲法』をいくら誇示しようと、外国人にとってはティッシュペーパー1枚ほどの値打ちもありません。
国際社会を律するのは国際法なのです。

 国際法は、条約、国連等の国際機関が定めた約束事や宣言、確立した事実たる慣行が成熟して国際社会に認められた慣習法などから成り立っています。

 文明国の憲法には必ず明記されており、日本国憲法では第98条第2項で、国際法は国内法より格式の高い法律として認識されています。

 つまり、国際法は、国家が受け入れた瞬間にその国の法律になり、しかも法としての格式は国内の法律に優先します。

各国は国内の法律を国際法の精神に合わせて解釈・運用するのが国際社会の常識で、国内法が不備ならば新しい法律を制定することが必要です。

そうしないと、どんな立派な条約や宣言も、各国の国内の法律の不備を理由に守られなくなるからです。

 少なくとも文明諸国では、国際法は、その国の法律の最も重要な一部であり、憲法と同等かそれ以上の地位を認められています。
憲法は国際法に対しては最高法規としての地位は無いということです。

 さて、日本は、俗に『条約に関するウイーン条約』と呼ばれている条約に参加しています。
その骨子は「条約上の権利を行使しない自由はあるが、国内法の規定の不備を理由として条約上の義務を免れることは出来ない。」というものです。

そこで、条約上の義務について、われわれに特に関係のある戦時の国際法や海洋法(安全保障や国家利益に極めて重要な根拠を与えるものです。)を中心に、話したいと思います。

※条約について、補足します。
条約には、初めから条文としてまとめられた「成分法」と、慣習や事実たる慣行をもとに文章化された「慣習法」二通りがあります。
「慣習法」は条文化されないで国際社会で承認されている場合もありますが、宣言や条文として文章化されているものもたくさんあります。
しかし、慣習法であることに注目してください。
解釈や運用に微妙な影響があるからです。

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