国際法のすすめ(3)国旗と制服について

工事現場の警備員や空港などの警備員に、航空自衛隊や陸上自衛隊とそっくりな制服姿を見かけることがあります。

また、数年前、都内のあるJRの駅で海上自衛隊の3尉から2佐ぐらいまでの幹部が大勢電車を待っていました。

しかし何だか感じが違う。身のこなし、服の色や形が微妙に違うのです。

ふと帽子を見るとあごひもが金という以外全く違っていました。海上自衛隊の帽子は白ですが、彼らの帽子は黒で、徽章が違い形状も少々違っていました。

防衛庁や海上保安庁とは異なる公的機関だったようです。しかし、普通の船員よりは、海上自衛隊の制服に酷似していました。

このように、日本では極めて安直に自衛隊の制服に酷似したデザインの服装を用いる傾向があります。

自衛隊は、国の安全を守る組織であり、国際的には、武力行使の権限を持つ唯一の武装集団として認識されております。
そして平時は、外国に対して国家の主権のシンボルとして「治外法権」と「不可侵権」が認められています。

警察や海上保安庁には「治外法権」だけ認められていますが、外国の官憲による臨検や拿捕までは受け入れなければなりません。

武力行使や臨検のような行為を「強力行使」と言いますが、対外的に自衛隊が強力行使を行うとき、自衛官は必ず制服を着用し、艦艇や航空機は国籍を明示する標識や旗を所定の場所に掲げあるいは表示しなければなりません。

戦時では、軍人が制服を着用しないで敵地区で行動したり、市民が軍服を着用して敵味方が入り乱れている地域で行動すると、軍事スパイやテロ行為として死刑にされても、国際法では極めて当然の合法的な処置とされています。

また、軍事組織は、非常時国籍を偽ったり赤十字や国際連合を装って敵を欺いたり白旗を使って降伏を装い敵を攻撃したりすることは、「背信行為」として厳禁されています。

ただ、外国の国旗を用いて敵中突破をして脱出するとか敵に近づくことは、「欺瞞行為」として認められており、「強力行使」のときだけ自分の国籍を示す旗を掲げることが求められています。

かつて『大脱走』という、連合軍の捕虜が大勢脱走を試みほとんどが捕えられる映画がありました。映画では、スイスとの国境で、オートバイがバリケードに阻まれて捕えられた捕虜が、ホールドアップしながら空軍大尉の階級章を示して収容所に送り返されました。

しかし、完全な私服で軍人であることを証明できなかった者は、ことごとく「私服で行動した」ということで銃殺にされました。

戦時国際法では、国旗や制服の持つ意義は極めて重いのです。

次回【その4】では、不審船についてお話します。

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