中国と海洋権力について


中国が東シナ海・南シナ海で尖閣、南沙、西沙各諸島の領有権を力ずくで変更を試みています。明国時代以外の中国は、海洋進出には積極的ではありませんでした。

現在の中国人の主張は、米国の南北戦争ごろの軍人、アルフレッド・セイアー・マハンの「海軍の役割は沿岸警備や通商路の確保だけでなく、海洋を自由に使用できる海洋権権力の確保にある」という主張と重なります。

この主張は当初米国よりも、英国に影響を与えましたが、現在は中国が忠実に継承していると言えます。マハンは「海洋支配の要件は、国土、人口、国民性、自然、統治機構と政府の性格、工業力等の裏付けを得た強力な火力をもつ戦艦が主体の海軍力の存在であり、海軍力の十分な発揮のためには、重要な戦場に、先んじて戦力の展開を可能とする拠点としての中心位置を確保し、常に拠点を結んだ線の内側で戦える状態が望ましい」と述べています。

日本は日露戦争のとき、北海道から台湾に到る線上に鎮守府や要衝を確保して、量的に勝る相手に勝利を得たといわれています。

中国は太平洋を米中で勢力を二分する提案をしたことがあります。
マハンの考え方の影響を受けている中国は、尖閣、南沙、西沙だけでなく、沖縄県や小笠原諸島以外の小無人島も視野に入れているように思えます。

もう一つ中国が無人島にまでこだわり始めた重要な理由は、島の大小に関わらず、島の周囲200海里に排他的経済水域を認めている海洋法の規定です。
また群島理論の規定で、島や岬を直線で結び、各直線の長さが100海里以内の場合は、囲まれた水域内のすべての海底資源や漁業資源に主権が及び、直線の3%以内は100海里を若干超えてもよいと規定されています。
中国の尖閣諸島等に関する挑発は、百年単位の極めて執拗な、妥協のないものになる覚悟が必要かも知れません。

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