防空識別圏について

中国東シナ海に日本、韓国、台湾と関わりのある広い空域に防空識別圏を設定して力による国際関係の現状変更の段階を一段上げたような感じがします。

海域や船舶の航行について、非常時に規制する水域設定を行った事例は歴史的経験を重ね、国際習慣法として成熟しており、武力衝突に発展する恐れは、それほど大きくありません。
しかし、航空機やミサイルのような飛翔体の規制には、地域の武力紛争の引きがねになる恐れも大きく、国家として緊張感をもって見守る必要があります。

防空識別圏は第2次大戦後、北米大陸で自国領域の外側に、自国の領域に接近する不審な空中目標に対して、識別するための空域を設定したことに、各国がクレームをつけずに自国も導入したことが始まりです。

成文の条約による詳細な規約はないので、各国の空軍が防空識別圏を拡大して、厳しい規制を行い強力行使が行われたりした場合に、無用の紛争や緊張状態が生起する恐れがあります。

日本が中国の挑発が強力の行使に及ぶことを阻止せず、強力行使を受けても排除しなければ、日本は強力行使を受容したとみなされます。
もし、尖閣諸島を含む沖縄県の周辺空域で、こういう事案が生起した場合は、「日中間に領土問題が存在し、沖縄の帰属も未確定であるという、中国の主張を日本が容認したものだ」と、中国は世界に喧伝し「尖閣諸島や沖縄周辺は紛争地域」と主張して軍事力展開もあり得るからです。

挑発の段階を少しずつ上げて、相手の責任であると囃し立てて、その相手をいつしか悪者に仕立てる中国の昔ながらの常套手段に対しては、毅然として、挑発手段を排除する意思を闡明に世界に示すことが必要です。

遺憾の意を表明するだけで、相手に既成事実を積み上げさせてきた日本外交は最も愚かであったと思います。

コメントを残す

このページの先頭へ