PKO等へ派遣する部隊を自衛隊と別組織にしようと言う声についての疑問-戦後50年の自衛隊と世論(第4回)

3 PKO等別組織論についての疑問

PKO等へ派遣する部隊を自衛隊と別組織にしようと言う声が政治家の間にも根強く存在し、「反自衛隊」の立場をとり続けてきた人たちの間に同調する人たちがいます。

国際的な問題を考える時は必ず国際法に根拠を求めるべきです。

自衛隊は国の安全保障に携わる武装した集団であり、国際法上の地位は日本人が憲法以下の日本の国内法を根拠として、理屈を捏ね回して、否定しても世界中が「軍事組織」と認定しています。

そして、自衛隊には交戦法規等の戦時国際法が適用されます。
装備の性能や軍事組織の国内法における呼称は関係ありません。

つまり、政府や国民が国の安全のために設置した武装団体は国際法上の軍隊と認定されるのが普通で、国際法で軍隊を明文で定義したものはありません。

一度国際法上の軍隊と認定されると、「国家の主権を代表する組織」として「不可侵権」と「治外法権」が認められます。

国家の基本的権利として、主権、平等権、自衛権、尊敬を受ける権利があります。

日本の憲法9条には国家としての交戦権を認めないことを規定していますが、この規定の有無に関わらず、国家の交戦権は国際的に認められていません。

国家の交戦権は国の安全保障の為に武力行使を認められている軍事組織にのみ「交戦団体」として、国連が必要な措置をとるまでの間、あるいは急迫不正の侵害を排除するため緊急避難と正当防衛のために「交戦権」の行使が容認されています。

交戦権を行使する自衛官は国際法上の戦闘員となり、警察官や消防官が文民であるのに対し、武官即ち軍人と認識されます。

外交官を除く文官には、治外法権は認められますが、不可侵権は無く、軍人は外交官と共に治外法権と不可侵権の両方が認められます。

したがって災害時に海外に派遣された自衛隊は派遣先の軍と調整して自衛隊指揮官の責任において、部隊は指揮命令を受けて行動し、安全管理や衣食住等について、自己完結型の組織として、独立した行動を取ることになります。

別組織にすると、派遣先の官憲の指揮監督を受け、行動の自由はなくなるのです。

わざわざ国際法上の強い立場を持つ自衛隊を、別組織の弱い立場にして送り出す必要はなく、逆に医療関係者、警察・消防関係者を軍属として、軍の指揮下に入れて送り出している外国に見倣うべきだと思います。

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