国家観と大局観を持って、力強く、組織的に機能する政府であることを望みます。

 まだあげ初めし前髪の、林檎のもとに見えし時、
前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり
 優しく白き手をのべて、林檎を我に与えしは、
薄紅の秋の実に、人恋ひそめしはじめなり
   「若菜集」(島崎藤村)

 長野県生まれの藤村が林檎の木の下の初恋を詠んだ詩の前半ですが、秋も深まり店頭に新鮮な林檎が並んでいます。

 大震災以来、復興や放射能への対応に気を奪われている間に、国際社会では安全保障や経済の問題が大きくなっています。
 各地の紛争に加え、中国の空母2隻を含む軍備拡張、日本や東南アジア各国との島嶼をめぐる米中の海洋支配の対立等がある中で、安全保障より子供手当の財源が大切と安全保障費を大きく減じ、陸自定員を千有余名削減した予算成立の直後に大震災が発生しました。
 観光以外に見るべき産業が乏しく、EU加盟当初から経済的能力を危ぶまれていたギリシャは、政府が財源の配慮をせずにEU各国に多額の国債を売って年金や各種の福祉手当金給付増、人口の20%から25%を公務員に任用し、給与の引き上げを続けて財政が破綻し、国債の半分を紙屑にしたため、EUが混乱しています。米国のサブ・プライム・ローン以来の金融不安と重なってドルとユーロが同時に暴落し、円は暴騰して、経済を加工貿易に依存する日本は苦しんでいます。
 以上のことで気になるのは、日本の現政権の国内向け政策と環境がギリシャと酷似している上に、総じて現政権は外交の全分野について見識が極めて低く、米・中・露に対して無為無策であったことです。外交や国際経済についての先見性は皆無で、震災への対応も国民個々の能力と民間企業の対応能力に支えられ、引っ張られている感があります。もっと国家観と大局観を持って、力強く、組織的に機能する政府であることを望みます。

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