明朝時代の故事を持ち出して南沙・西沙両群島や尖閣諸島の現状変更を強要する中国の姿勢は、国際法上の常識を欠いています。

最近、中国は国土や経済の規模は太平洋の西と東で米国と向かい合う大国だが、国際法を忠実に守らず、自国の理論と力ずくで他国の権利や領土を侵害したり、現状変更を迫る未熟な発展途上国の一つという指摘が見られます。

国際社会には諸国が協調して、平和で秩序ある共同生活を行うための法規があり、これを国際法と言います。

国際法のおおもとは各種の条約や国際連合等の憲章、諸国が合意した文書による宣言、議定書、協定等の成文方式のものと、国際社会の歴史の中で長く習慣的に、国際秩序や権利義務を守るために行うべきと認められた慣行が成熟した慣習法とで、
後者は活字化されても成文法ではなく、慣習法と呼ばれます。

日本を含む諸国の民法や商法に慣習法の部分が多く、国際法の海洋法の約85%と戦争法規の大半が、活字化された慣習法です。

尖閣諸島の領有や、日中間の沖縄の主権は未解決という主張が中国にありますが、毛沢東主席が1964年、「沖縄の主権は当然日本に返還されるべきだ」という見解を、各地の中国大使館に指示徹底させました。

尖閣諸島については、清国や中華民国の全期間を通じて、また1949年成立の現政権も1970年まで日本の領有権を認めていました。
日中国交が正常化した1972年周恩来首相は田中首相との会話の中で「この問題は今日はやめよう」と先送りの意向を示したと仄聞していますが、共同声明等のように国際法上の公式の形式を整えた、正式の記録はありません。

1622年に滅びた明朝時代の故事を持ち出して南沙・西沙両群島や尖閣諸島の現状変更を強要する中国の姿勢は、国際法上の常識を欠いています。

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